ホーム > パインケミカル > 松脂(ロジン)を訪ねて > 15.江戸切子(硝子工芸)と松脂(ロジン)


パインケミカル

江戸切子・・・切子は線で始まり線で終わる。

江戸切子とは1834年(天保5)に江戸で加賀屋九兵衛が金剛砂を用いてガラスの表面に彫刻をしたのが始まりで、その後明治時代になりヨーロッパのカットグラス技法が導入され、今に伝わる伝統工芸の江戸切子となった。江戸の町人文化を色濃く残すこの伝統工芸は、その精緻さと相まって私達の暮らしに息づいている。

今回の取材は有限会社篠崎硝子工芸所の代表、篠崎清一さんをお訪ねした。篠崎さんは江戸切子の伝統工芸士として、常に新しい模様の江戸切子を発表されている。その作品は業界でも高い評価を受け、東京都江東区長表彰を始め多くの賞に輝いている。

画像 篠崎清一氏の写真

手にする自作の江戸切子は曲線、円弧だけで構成された逸品。カットの深み、色残り、輝きなどすべてが商品の善し悪しにつながる、と篠崎さん。
オリジナルの商品は有に500種を越える。町工場からの脱皮をはかっていくことも江戸切子の将来には必要で、ここでしかつくれない商品を開発したいと篠崎さんは熱く語られた。

画像 篠崎さんの作品の写真
篠崎さんの作品

篠崎硝子工芸所にて

画像 都内の地図

東京の下町は江戸時代から日本の江戸手工業を支える一帯でした。篠崎硝子工芸所がある江東区の大島あたりも町工場で栄えたところで、今でも硝子に関係する職人が多く住み着いています。
江戸切子は1985(昭和60)年に東京都の伝統工芸産業に指定された。篠崎さんは群馬県で育ち、16歳で上京して江戸切子の技術を学び、爾来50有余年江戸切子一筋に歩まれ、現在は後継者でもある息子さんと奥様ほか数人の職人と伝統工芸を守っている。
「実は最近、江戸切子の割り付け作業に使うワニスが製造中止となり、代替品ではどうしてもうまく割り付けが出来なくなったので、なにか松脂品で良い物がないか」と篠崎さんからお問い合わせを当社が受けていた。
割り付けという言葉自体なじみがなく、よく分からなかったものの、取りあえず松脂を使った当社品をご提案したところ、格段に作業性が改善されたそうで、松脂と硝子の関係について取材させていただいた。

画像 当社のG-50Mと割り付けされた硝子の写真
当社のG-50M(松脂の入った製品)と割り付けされた硝子

江戸切子の作業工程

江戸切子の材料は鉛ガラスで、色被せ(いろきせ:色ガラスと透明なガラスを二重に吹き合わせた技法のガラス)のものを使います。この色ガラスの部分をカッターで削ることにより、模様を出していきます。
江戸切子の工程では、先ず素材(無地のガラス)に星打ちと呼ばれる作業をする。これは模様の割り付けの為の目印となるもの。

画像 江戸切子の作業工程の写真1
無地のガラスに星打ちした状態

1.割り付け・・・
設計図から素材の表面に基準線を描く。器の内側から弁殻(赤色顔料、主成分は酸化第2鉄。弁柄とも書く)の溶液でマークする。最近は油性ペイントで外側から割り出ししている。篠崎さんは松脂の入ったワニスが密着性が良く、作業中にも消えにくいそうだ。
切子は割り付けが命。筆一本でその微妙な線を表現していく。

画像 江戸切子の作業工程の写真2
設計図から基準線を描く。

画像 江戸切子の作業工程の写真3
回転台に載せて筆で割り付け。

画像 江戸切子の作業工程の写真4
割り付けが済んだガラス

2.荒摺り・・・大まかな模様を削る。

画像 江戸切子の作業工程の写真5
今はダイヤモンドホイルと呼ばれるカッターを用いる。篠崎さんは500種類ほどのカッターを有し、模様ごとに取り替えている。

3.石掛け(中摺り)・・・細かい模様を削る。

画像 江戸切子の作業工程の写真6
摺り終えた硝子はまだ不透明。まだ、割り付けの線が残っている。

4.磨き(仕上げ摺り)・・・
摺ったところを磨く。この工程では木盤磨き(セリウム粉末など使用)と酸磨き(弗化水素など使用)があり、カットされたガラスを磨き上げ、透明感をだし、角を落とします。

江戸切子の参考図書など

江戸切子と薩摩切子・・・東京カットグラス工業共同組合の統一見解
江戸切子の素材は透明な硝子と色被硝子でも色を薄く被せたものとがある。カットは深く鮮明で正確であり、仕上がりがはっきりとして華やかである。
薩摩切子は色被せガラスを用いたカットグラス。色を厚く被せた素材で、切子が半透明な淡い感じの仕上がりとなる。幕末期、薩摩藩で20年位の歴史の中で途絶え、現在ある物は復元的な物が中心。

参考図書

  1. ガラスの話 由水常雄(新潮選書)
  2. ガラスの生長 各務鑛三(中央公論美術出版)
  3. 江戸切子 山口勝旦(里文出版)
  4. ガラス工芸ノート 視覚デザイン研究所編
  5. だれにでもできるガラス工芸 由水常雄(文遊社)
  6. 職人と語る 永六輔(小学館)

参考ホームページ

  1. http://www.edokiriko.com/make.htm

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