江戸切子・・・切子は線で始まり線で終わる。
江戸切子とは1834年(天保5)に江戸で加賀屋九兵衛が金剛砂を用いてガラスの表面に彫刻をしたのが始まりで、その後明治時代になりヨ-ロッパのカットグラス技法が導入され、今に伝わる伝統工芸の江戸切子となっています。江戸の町人文化を色濃く残すこの伝統工芸は、その精緻さと相まって私達の暮らしに息づいております。
今回の取材はこの江戸切子の伝統工芸士である篠崎清一さんをお訪ねして、いろいろとお話を伺いました。篠崎さんは有限会社篠崎硝子工芸所の代表として、いろいろな模様の江戸切子を発表しています。その作品は業界でも高い評価を受け、東京の江東区長表彰を始め、多くの賞に輝いています。

自作の江戸切子を手に語る篠崎さん。手にする江戸切子は全部曲線、円弧で作りあげた物。カットの深み、色残り、輝きなどすべてが商品の善し悪しにつながりますとおしゃる。
問屋からの下請けでは駄目、自分で切り開いていくことが必要とか。オリジナルの商品は有に500種を越える。町工場からの脱皮をはかっていくことも江戸切子の将来には必要ですと熱っぽく語ってくれました。また此処しかない商品を開発したいともおしゃる。

篠崎さんの作品
篠崎硝子工芸所にて

篠崎硝子工芸所は東京の江東区にあります。東京の下町は江戸時代から日本の江戸手工業を支える一帯でした。ここ江東区の大島あたりも町工場の栄えたところでした。
このような中、硝子に関係する職人が多く住み着いています。
1985年(昭和60年)、江戸切子は東京都の伝統工芸産業に指定され、今日に至っています。篠崎さんは群馬県の出身ですが、16歳より東京で江戸切子の技術を勉強し、爾来50有余年江戸切子一筋に歩んでおられます。現在は後継者でもある息子さんと奥様ほか数人の職人と伝統の江戸切子を守っています。
実は当社にこの江戸切子についての問い合わせがあったのは、割り付け作業に使うワニスがなくなり、どうしてもうまく割り付けが出来なくなったので、なにか松脂で良い物がありませんかとの問い合わせでした。
割り付けという言葉自体なじみがなくよく分からなかったのですが、問い合わせして色々と電話でお話をした中で、取りあえず松脂を使ったものとして当社のG-50Mを提出しましたところ、今までよりは格段に作業性が改善したことでしたので、松脂と硝子の関係についてお話を取材するべく訪問しました。
墨流しは約800年前、平安時代に始まるといわれる。手漉き和紙に墨や染料を用いて染色をしたり、模様を描く方法で、工芸紙として広く使われている。この伝統芸術の墨流しをできるのは、福田さんと後一人という秘伝中の秘伝です。今回訪問したときには親切にその秘伝の墨流しを披露してくださったが、ちょうど時を同じくして、福井県から無形文化財の指定があったそうで、このような伝統芸術を後世に伝えていく上でも励みになりますとおっしゃる。墨流しの技法を用いたものとしては、西本願寺所蔵の「三六人集」や、四天王寺の扇面古写経などが特に有名です。

当社のG-50M(松脂の入った製品)と割り付けされた硝子
江戸切子の作業工程
江戸切子の材料には鉛ガラスで、色被せ(いろきせ:色ガラスと透明なガラスを二重に吹き合わせた技法のガラス)のものを使います。この色ガラスの部分をカッタ-で削ることにより、模様を出していきます。
江戸切子の工程は次のようになります。まず、購入した素材(無地のガラス)に星打ちと呼ばれる作業をします。これは模様を付けていくときに割り付けをしますが、それの第一歩です。

無地のガラスに星打ちした状態
1.割り付け・・・
設計図から素材の表面に基準線を描く。器の内側から弁殻(赤色顔料、主成分は酸化第2鉄。弁柄とも書く)の溶液でマ-クする。最近は油性ペイントで外側から割り出ししている。篠崎さんはこの工程でいろいろと使ってみたが、松脂の入ったワニスが密着性が良く、作業中にもとれにくいとおっしゃる。
切子は割り付けが命。筆一本でその微妙な線を表現していく。

設計図から基準線を描く。

回転台に載せて筆で割り付け。

割り付けが済んだガラス
2.荒摺り・・・大まかな模様を削る。

今はダイヤモンドホイルと呼ばれるカッタ-を用いる。篠崎さんは500種類ほどのカッタ-を有し、模様ごとに取り替えている。
3.石掛け(中摺り)・・・細かい模様を削る。


摺り終えた硝子はまだ不透明。まだ、割り付けの線が残っている。
4.磨き(仕上げ摺り)・・・
摺ったところを磨く。この工程では木盤磨き(セリウム粉末など使用)と酸磨き(弗化水素など使用)があり、カットされたガラスを磨き上げ、透明感をだし、角を落とします。
江戸切子の参考図書など
江戸切子と薩摩切子・・・東京カットグラス工業共同組合の統一見解
江戸切子の素材は透明な硝子と色被硝子でも色を薄く被せたものとがある。カットは深く鮮明で正確であり、仕上がりがはっきりとして華やかである。
薩摩切子は色被せガラスを用いたカットグラス。色を厚く被せた素材で、切子が半透明な淡い感じの仕上がりとなる。幕末期、薩摩藩で20年位の歴史の中で途絶え、現在ある物は復元的な物が中心。
参考図書
- ガラスの話 由水常雄(新潮選書)
- ガラスの生長 各務鑛三(中央公論美術出版)
- 江戸切子 山口勝旦(里文出版)
- ガラス工芸ノ-ト 視覚デザイン研究所編
- だれにでもできるガラス工芸 由水常雄(文遊社)
- 職人と語る 永六輔(小学館)
参考ホ-ムペ-ジ
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