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パインケミカル

江戸解き友禅とは

徳川時代の末期に、江戸に住居を構えていた大名が、家中を本国へ帰したり御殿女中を解雇した際、それまで使っていた衣類等が売りに出されました。しかし、着物の場合そのままでは一般町人は着用できないため古着屋で解いて(着物をほどいて)売られました。これが江戸解き友禅の語源といわれています。解かれた生地の柄を活かした小物などがつくられ、その後、江戸っ子の間ではそれまでの京友禅や加賀友禅の雅やかさとは違った粋で独特のデザインに発展していき、華やかさを抑えた色合いで描かれる模様はまさに江戸風の美しさであるといえます。

友禅流し

友禅は水とは切っても切れない関係で、京友禅、加賀友禅、また、江戸友禅も水のきれいな場所で発展してきています。京都では鴨川や堀川、加賀では犀川、そして江戸では隅田川という具合です。また、友禅は水の芸術とも言われ、水洗いによって友禅の美しさが表現されています。

伊藤さんのアトリエにて

大分県の出身の伊藤さんは東京の板橋で友禅染の工房を構えておられます。名刺には江戸友禅絵師とあり、きもの・工芸・友禅画の作家です。東京染色美術学院で友禅の指導を受けた恩師が松脂を使っていたことから、友禅画で独自の特徴を出す技法として松脂を使い始めたそうです。また、友禅では個性が非常に重要であり、アイデアを生かしながら常に新作に取り組まれているそうです。

友禅にも松脂が使われています。

友禅は完成までに30工程以上ありますが、その中で染料を布地に付ける友禅挿しの工程で松脂を使っている。
一般に、友禅挿しでは模様を生地の上に表現するために、糊や蝋の防染材を使って紋様部分に染料が入らないようにします。。防染材に使用される蝋には、石油由来のパラフィンワックス、櫨(はぜ)の木から採れる木蝋、白蝋、蜜蜂の巣から採れる蜜蝋、牛脂や大豆油から採れるステアリン酸がありますが、伊藤さんは松脂も使われます。松脂は際立たせたい紋様のところで使うそうで。例えば、葉の部分では染料の色がやわらかく重なり合い、葉に光が当たって照りかえっているような表現ができるそうです。松脂を使うことによって染め上がりに優しい効果を生み出せるそうです。。

画像 手画き友禅の工程図

画像 手画き友禅の作例
上の写真で、松の葉が少し光っているように見えるところがあるが、これが松脂の効果とのこと。

友禅の工程

画像 手画き友禅工程の写真1
下絵:白布地に紋様を描く  色付:紋様に染料で色を付ける

白生地に青花で紋様を描きます。青花は露草の花の汁を染みこませた青花紙、もう一つは澱粉にヨードを反応させた化学青花です。下絵が青白いのはそのためです。

画像 手画き友禅工程の写真2
左:糊(糸目糊) 右:松脂を溶剤で溶いたもの

画像 手画き友禅工程の写真3
色を付けられた下絵に松脂でろう付けする。

糸目糊置・・・青花で描かれた下絵に沿って糊を入れていき、染料液のにじみや浸透を防ぐために行う。

友禅染の美しさ・・・それは白いラインと染め色の美しさ

伊藤さんは手で描くことが作品に唯一性を生み作家の味と個性が滲み出るという。一言でいえば白いラインと染め色のコントラストが友禅の美しさだと強調する。江戸解き友禅の特徴は繊細であるが大胆であり、ヤボであるが緻密であり、粋でいなせであるとのこと。

参考図書・参考ホームページ

  1. 日本大百科全書(小学館)
  2. 大言海 大槻 文彦著(小学館)
  3. 模様染の伝統技法 青柳 太陽著(理工学社)
  4. 日本の染め織り 中江 克己著(紀尾井書房)
  5. 染織のこころ 中島 孝著(時事通信社)

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