若者が元気になる!田舎のシェアハウス

人おこし、生きづらさを抱える若者たちが全国からつどい、社会的自立をめざすシェアハウス。大自然の中で、仲間たちと一緒に新しいチャレンジをサポートするNPO法人山村エンタープライズが運営する「人おこしシェアハウス」。

ハリマ化成グループが運営する、作州武蔵カントリー倶楽部、ホテル作州武蔵の敷地内にある社員寮を借り受け、人おこしシェアハウスを運営して7年。事務局長(取材時)の能登大次さんにお話を伺いました。

掲載日:2023年3月29日

取材協力:NPO法人山村エンタープライズ

震災を機に田舎暮らしを決断

まずは設立の経緯をお聞かせください。

私自身を含めた設立メンバーは福祉の専門家ではないんです。もともと、「地域おこし協力隊」という文部科学省の制度を活用し、田舎に興味がある都市部の若者に一定期間居住してもらい「地域協力活動」を行いながらその地域への定住、定着を図るという制度があります。私は仙台市出身で、夫妻で東京周辺を中心に雑貨類のデザインの仕事をしていたのですが、3.11の震災も経験し、子どももできたばかりだったので、デザイナーの仕事だけではなく、農業や食、山などの自然や地域にかかわりたいと、ライフスタイル全般を移したいと考えるようになって、田舎でしかも西の方で暮らそうと家族で2011年夏に岡山県に移住しました。

そこにちょうど良く岡山県美作市の山奥に梶並という限界集落があるのですが、そちらの「地域おこし協力隊」として2012年夏に赴任しました。3年の期間限定でしたが、お給料もいただいて地域貢献するというものです。

いろいろな地域おこし活動を集まったメンバーと行いましたが、その中心が空き家をお借りし、改修して活用するもので、その一つに大きな家をシェアハウスにしたのです。都会生活にちょっと疲れた、農業や林業に興味がある若者に、田舎への入り口として、安価に貸し出たのです。すると「山村シェアハウス」は評判となりマスコミなどにも取り上げてもらえて、常に7、8人の若者が僕たちと暮らしながら地域での活動を広げていきました。

それを3年間やっている間に、引きこもり経験のある子や学校に行けなくなった子、いわゆるニートになってしまっている子など、田舎でリフレッシュしたいという子たちが、多く来てくれたのです。彼らと一緒に耕作放棄された畑を借りて芝刈り機で草を刈ったり、田んぼに戻したりと活動していると、その子たちがみるみる元気になっていく。その流れのまま自分で仕事を見つけて巣立って行くなど成果が見えたのです。

  1. 震災を機に田舎暮らしを決断
  2. 「地域おこし」から「人おこし」で起業
  3. 快適な生活環境づくりで社会生活をとりもどす
  4. 最大のピンチにハリマの支援に感謝
  5. 「人おこし」には地域社会の理解と寛容が必要

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