ハリマ化成グループ

次代への羅針盤

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サブのテーマを持って研究の幅を広げよう

伏木 亨

味覚は情報に左右される

 私はこれまでの研究に基づき、おいしさの構成要素を4つに分類しています。その1つが病みつきになるおいしさで、脳の快感の中枢である報酬系を強く刺激するおいしさです。あとの3つは、生理的な欲求に合致するおいしさ、生まれ育った場所や民族などの食文化に合致するおいしさ、そして情報にリードされるおいしさ。現代社会では、4番目に挙げた情報にリードされるおいしさがとても大きなウェートを占めています。

 人間の味覚は驚くほど情報に左右されるものです。1本20万円するボルドー産のワインと、コンビニで売っている 400円のワインをわかっていて飲み比べたら、ほとんどの人がボルドーがおいしいというでしょう。でも、それと知らずに飲んだら、どうでしょうか。

 先日、私はハリマ食品からレトルトカレーの「極美味ビーフカレー」のセットをいただきました。この商品は1食1,000円(税抜)する高級カレーで、パッケージも高級そうなデザインです。食べると期待どおりの高級感のある深い味わいでした。迫力を感じるほど牛肉がたっぷり入っていましたし、「レギュラー」のカレーには珍しく山椒が隠し味に使われており、おいしくいただきました。

 私たちは食品のパッケージから商品名、イメージ写真、使われている材料、カロリー、賞味期限などさまざまな情報を得ています。こうした、情報を得ることでよりおいしく味わうこともできるのです。

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