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17.弓弦(ゆづる)と松脂(ロジン)

弓は古来より悪魔を祓うものとして尊重されてきた。また、弦音(つるね、弓の弦からの音)も邪気を祓う物と言われている。矢を放った時のキュンという音がたまらないという人が多くいる。まさにこの音が弦音だ。

画像 弓弦(ゆづる)の写真

取材協力

有限会社:澤山弓弦製作所 代表取締役 澤山 晃
〒421-1215 静岡県 静岡市 葵区羽鳥4-18-14/電話 054-278-8046

弓の歴史

弓は人類が狩猟を生活の場としていた旧石器時代に遡ることは明白で、少なくとも1万2000年前頃の縄文時代には既に弓矢が使用されていたことは遺跡からも確認されている。我が国で発掘される縄文時代の弓は1.2~1.6メートル位の長さであり、弥生時代では2.0~2.3メートル位となり、現在使われている弓の長さは七尺三寸(2.21メートル)で、弥生時代の弓の長さとほぼ同じだ。
古代の弓は木や竹で弓を作り、藤蔓(ふじつる)のような繊維質のものを弦(つる)として使用し、矢は鳥のはねや細い木で作るなど、身近にあった物を道具として発達させたが、狩猟による恵みは命をつなぐ道具であり、弓は神聖なものとして扱われるようになってきた。
現在、破魔弓とか破魔矢とかいわれ、初詣の開運の縁起物や男児の正月の祝い品としての物、また新築の時に上棟式に鬼門の方角に向けてたてる矢があり、いずれも悪魔払い、邪気払いとして縁起の良い物とされている。

画像 弓の構造の図
日本大百科全書(小学館より抜粋)

弽(ゆがけまたはしょう)

弓懸とも書く。弓を射るときに手の指を保護するために用いる革製の手袋。弦弾きともいい矢の滑りを押さえるために松脂が使用される。この松脂をぎりことも言い、松脂を煮込むことによりべとつきを少なくした物が使われる。
「手ぐすねを引く」のぐすねは薬練(くすね)と書き、練った松脂のことである。手の指に松脂を付けて待つ状態。つまり、いつでも弓を弾けるよう準備万端整えたという意味となった。

画像 弓懸の写真

矢師、弓師、そして弦師

矢を専門に作る人を矢師と言い、弓を専門に作る人を弓師と言う。8世紀頃までは弓削(ゆげ)と呼ばれる工人がいた。桑や槻(つき)檀(まゆみ)などの木を削って弓を作っていた。それ以外にも梓(あずさ)、欅(けやき)、槇(まき)、榧(かや)などが使われているが、いまでは竹を張り合わせた物が使われている。このようにして弓ができはじめると、今度はそれが分業してきて、矢を作る人(矢師)、弦を作る人(弦師)などとなっていった。
今回取材させていただいた澤山さんは弦作り専門でこの道35年の工芸士である。現在では奥様と3代目の息子さんとで、一日40~50本の弦を作る。弦作りも一時は武道のすたれから需要が減ったが、最近では弓道人口が復活してきているため、弓、矢の需要も回復してきているそうだ。
弦は昔から麻が最上品とされてきたが、最近では合成繊維を混ぜた弦も多く作られている。しかし、弦音(つるね)は麻糸が最高であり、この感触のため高段者では麻糸を選択する人も多いとか。澤山さんは静岡市で弦を作っているが、静岡市と焼津市の周辺には弓や弦を作る人が昔から多く住んでいる。徳川氏が武田氏との戦いのため、道具を作る人を集めたためと言われている。

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