ホーム > パインケミカル > 松脂(ロジン)を訪ねて > 18.笙(しょう)と松脂(ロジン)


パインケミカル

工房 響にて

工房響を主催する東康弘さんは東京で音楽家として活躍する一方、笙(しょう)や篳篥(ひちりき)などの修理を通して技術の習得につとめていたが、、現在は奈良県天理市で演奏会、和楽器の修理、調律などを手掛けています。工房響で作る笙は部品一つに至るまですべて手作りのため、笙をつくるには約1ヶ月の工程が必要で、工房響で制作できる笙の数は1ヶ月に4~5個である。因みに東さんの作る笙は25~35万円。
笙はピアノと同じように1年に1度は調律が必要で、これまで調律は人の耳に頼っていたが、最近では器械による調律も併用されてきている。

画像 笙の調律風景の写真
リードを爪先ではじいて音を調律する。工房響では器械による調律と耳による調律を併用。

笙のここに松脂がつかわれています。

笙はリードと呼ばれる金属が振動することにより音を出す。松脂はリードを竹管に密着させるためと、音階を調節するために付ける鉛の固定用使われており。つまり、非常に大切な働きをしています。この鉛の量の違いで音の高い、低いを調整しています。

リードの作り方

画像 リードの作り方の図

笙のリードは銅鑼(どら/錫と銅の合金)を切って2cm位にする。そして左図のようにリードに線を入れ上下、両端をノミで削っていく。そうすることにより、斜線の部分が削られ、線の部分に切り込みが入る。ここが振動して音を出す。

銅鑼を切って作ったものは一名サハリと呼ばれている。サハリとは仏教の儀式に使うお椀型の楽器のことを言う。

画像 竹管と笙のリードの写真
竹管と笙のリード

松脂の調合とリードの削り

リードを青石(しょうせき/孔雀石を擦ったもの)で削り切り込みの隙間をロウで埋める。これにより、息が隙間から漏れて音が出難くなるのを防いでいる。
孔雀石とは水酸化銅と炭酸銅からなる鉱物。緑色で光沢がある。顔料、花火の原料に使用する。別名マラカイト。松脂は蜜蝋と混合して調合され、1:1の比率(夏は松脂を少し多くし、冬はその逆)で混合したものをロウという。

画像 作業風景の写真1
緑色のものは孔雀石と擦ったもの。黒い皿は松脂と蜜蝋を混合したロウ。そして白い皿には鉛粉がある。

リードの取り付け

松脂と蜜蝋を混ぜて作ったロウをリードの周りに塗りリードを固定する。リードの上部は鉛とロウを混合して付ける。鉛とロウの混合物を鎮(しず)といい、鉛の量によって音階を調節する大切な役割を持っている。

画像 作業風景の写真2

龍笛(りゅうてき)にも松脂が使われています。

このように松脂は笙の音色に対して重要な役割を担っているが、雅楽の演奏に使われる龍笛(りゅうてき)の音の仕組みにも深く関わっています。

画像 龍笛構造の図

上の図は龍笛の構造ですが、歌口(うたぐち)のところに振動の調節のため蜜蝋(松脂との混合物)を用います。因みに龍笛や笙の竹の部分には煤竹(すすたけ)がよく使われています。

参考図書・参考ホームページ

  1. 日本国語大辞典(小学館)
  2. 字通 白川 静著(平凡社))
  3. 雅楽-伝統音楽への新しいアプローチー 増本 喜久子著(音楽之友社)
  4. 雅楽-古楽譜の解説- 東洋音楽学会編(音楽之友社)
  5. 縄文の音 土取 利行著(青土社)
  6. 唐代の楽器 東洋音楽学会編(音楽之友社)
  7. 雅楽 http://www.gagaku.net/home.html
  8. 雅楽について http://www.gagaku.com/gagaku.html
  9. 日本雅楽会 http://www.nihongagakukai.gr.jp/instrumants-j.html
  10. 龍笛 http://www.asahi-net.or.jp/~dl1s-ymgc/tsukuru.htm

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