「人おこし」には地域社会の理解と寛容が必要

社会復帰を支援することはとても難しいように思いますが

入居者は様々な事情で社会となじめずいた若者で、生きづらさを感じストレスに押しつぶされた状態でやってきます。私たちの統計では入居時の希死念慮(自殺願望)が実に3分の1もあります。同じような境遇の仲間との共同生活の中で清掃や料理といった役割をこなし、地域での様々な体験を通じて、人や社会のやさしさを経験してゆっくりと成長し青春を取り戻していきます。彼らの社会復帰には迎え入れる社会も寛容でなければなりません。

現在、この施設のアルバイトスタッフとして、たくさんの地域の方にご協力いただいています。

また、地域の皆様のご理解やご支援で支えられている事業ですから、月に一度ゴミ拾い活動を実施したり、お正月に入居者とスタッフでついた杵つき餅を地域のみなさんにお配りして回るなど、地域交流を通じて地域のみなさんの理解を得られるよう努めています。

経営的には、入居される方には家賃、食事代、光熱代と活動費用を含めて月額12万8千円いただいています。お父さんやお母さんに全額支払っていただくことになっています。月額12万8千円という金額は、親御さんたちにとって大きな負担ですけれど、我々の経営的には入居人数に常に左右されるので、経営体制を安定させるのが難しいのです。7年が経過していますがこの課題は続いています。全国には同じようなNPO法人があるのですが、20万円超の月額経費のところが多いようです。私たちはリーズナブルに提供できていると思ってはいますが、いろいろご支援いただけると有難いと思います。

 

最後に、地域の皆さんをはじめ特にハリマ化成グループには感謝する次第です。今後とも末永くご支援のほどよろしくお願いいたします。

能登大次(のとひろつぐ)

1974年生まれ仙台市出身、東北大学大学院卒、地元の私立高教員を経て金沢市とオランダのデザイン専門学校で学び雑貨などを手掛けるプロダクトデザイナーとして東京で生計を立てた。2011年東日本大震災を機に岡山市に移住。2012年、美作市の「地域おこし協力隊員」として家族ともども移住。着任後、任意団体「山村エンタープライズ」を他の協力隊員と設立。同市梶並地区に山村シェアハウスを開設。2015年に同団体をNPO登記。2016年にはハリマ化成の社員寮を借り受け移転し、生きづらさを抱える若者を受け入れる施設に特化した。2023年4月より「NPO法人山村エンタープライズ」代表理事に就任。

作州武蔵カントリー俱楽部/ホテル作州武蔵

ハリマ化成グループが運営する27ホールのゴルフ場に天然温泉ホテルを併設するリゾート施設。ゴルフ場は1975年に開場し1993年ホテル作州武蔵がオープンしました。ゴルフ場拡張時の1985年に敷地内に建設した社員寮(木造2階延べ約500平方メートル、個室18室、共有施設等)と社宅1棟(3DK2戸、木造1階延べ約135平方メートル)を2015年秋より地元のNPO法人「山村エンタープライズ」に提供しています。

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