ハリマ化成グループ

次代への羅針盤

次代への羅針盤

若手人材の育成こそ日本再興への道

新海征治

分子を思い通りに動かす

 こうしたことをお話しすると、「ナノテクノロジーや分子機械とは全然関係のない研究をされているのですね」とおっしゃる方がいます。けれどもこうした研究も、私の中ではずっと繋がっているのです。 私はもともと有機化学者で分子を扱っていました。生命体も分子で構成されています。しかし、分子を集めてもそのまま生命体になるとは考えられません。では、どうすれば分子を生命体のようにすることができるかと考えたとき、1つは分子を思い通りに動かすということでした。そしてもう1つは、生命体の場合、1つの分子だけで仕事をしているものはほとんどなく、いくつかの分子が一緒になったり離れたりして特殊な形をつくって仕事をしています。そうであるならば、分子を集合化させたらどうかと考えました。この2つの方向から集合系とバイオ系に寄っていくのは、私にとってごく自然なことだったのです。

 もっとも10年たったのを区切りに崇城大学は昨年度退職しましたし、九州先端科学技術研究所の所長も辞し、今は自ら研究はしていません。現在は、人の研究のサポートと人材の育成が主な仕事です。もちろんナノテクノロジーや分子機械の研究をしている人のサポートもしています。

次のページ: グローバルリーダーの育成を

1 2 3 4 5