ハリマ化成グループ

次代への羅針盤

次代への羅針盤

二次電池開発の世界的な拠点構築へ

逢坂哲彌

次世代を育てる力を問われる

 二次電池の市場では、2000年代初頭には日本が世界で97%ほどのシェアを握っていた時代があります。しかし2020年現在は30%台にまでシェアが低下しています。たとえ公開していなくても、技術は移転していくものです。太陽電池の技術などはその典型で、あっという間に海外に出て行ってしまいました。技術は重要です。しかし、新しい技術を生み出し、それを育てて次のステップに発展させていくためには、先を見据えた戦略も必要です。日本にも、オーナー経営の中堅企業などにはしっかりした技術と戦略を持ち、長年にわたって頑張っている企業がありますが、GAFA*のように新しい産業を創出していくためには日本の企業も変わらないといけません。もちろん、大学も同様です。

 新型コロナウイルスのパンデミックを一つの契機に、日本の大学も変わっていくのではないか、と私は期待しています。これからは、将来の人材を生み出せる大学とそうでない大学に分化するのではないでしょうか。大学はますます次世代を育てる力を問われることになるでしょう。

*GAFA=Google、Apple、Facebook、Amazonの頭文字を取った総称。

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