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国技・大相撲の伝統と格式の象徴大銀杏を結う

日本書紀に記述があるとされる相撲は、まさに日本の国技といえる。
その相撲人気を裏方として支えているのが、床山だ。
一昨年末、床山の頂点に立った床松さんもそのひとり。
大銀杏を結うその鮮やかな手さばきは、すでに名人芸の域に達している。

床山 床松さん

君は床山になった方がいい

 1970年、当時16歳だった松井 博さんは、千葉県稲毛の自宅から電車に乗り、両国駅で下車した。すると駅前で相撲取りを見かけた。北海道にいた頃はわんぱく相撲に出場し、栃錦や若乃花の絵が描かれたメンコで遊んでいた相撲好き。何の気なしに相撲取りの後をついて行ったら春日野部屋にたどり着いた。

 もともと「相撲取りになりたい」という気持ちはあった。しかも驚いたことに部屋から出てきたのは、元横綱栃錦の春日野親方ではないか。「あのメンコの人だ」

 感激した松井さんは思わずこう口にしていた。

「僕、お相撲さんになりたいんです」

 それに対して春日野親方は「1年くらい部屋で遊んでいれば体はすぐ大きくなるよ」と言った。つまり、入門を認めたのである。

 ところがそのとき親方の隣にいた人物が「君は床山になった方がいい」と言った。

 床山というのが何のことか、松井さんは知らなかったが、思わずこう答えた。

 「はい、よろしくお願いします」

 こうして松井さんは春日野部屋に所属する床山になったのであった。

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