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伝説のテクノロジー

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スポーツ練習場

新豊洲Brilliaランニングスタジアム

接合部。側面に2枚の羽プレートが突き出した形状。

多様な用途の展開が可能

 もっとも解体されても部材などがそのまま廃棄されるわけではない。解体後は別の場所に移して、再び組み立てることが想定されている。そもそもフレームのパーツをユニット化したのも、組み立てやすさと同時に解体のしやすさを見据えてのことだ。そのため鉄骨とユニットフレームの接合部は、解体時になるべく木に傷がつかないようにシンプルにする工夫が随所に施されている。

菱形の形成に2本の湾曲集成材を使うことで接合部を2箇所に減らすメリットがある。

 ランニングスタジアムの工期は、基礎工事も含めて6カ月ほどであった。これだけの規模の構造物の工期はもっと長くなるのが一般的だ。

 となれば、地形や土壌などその土地の条件にもよるが、移設したときもおおよそ6カ月で竣工できることが見込まれる。

 名波さんによれば、次の移転先はすでに探し始めているという。

 どこになろうと、この場合は移転先でもランニングスタジアムとして使われることになるだろう。だが当然のことながら、同じ工法でつくれるのはランニングスタジアムに限らない。短工期で建設できる利点を考えると、例えば災害時の避難所、期間限定のイベント施設、あるいは緊急時に必要になった医療施設など、多様な展開が考えられそうだ。

 フレームのユニットなどをシリーズ化すればいろいろな大きさの構造物がつくれるだろうし、コストも下げられる可能性がある。

 障がい者と健常者が分け隔てなく楽しめるスポーツ施設が増えれば素晴らしいことだし、緊急事態に必要な構造物を短工期でつくれるとなれば、それも多くの人に喜ばれるはず。20年後、あるいは30年後、こうした構造物があちらこちらにあるのが当たり前になったとしたら、そのとき人々はこう言うかもしれない。

 「こういう施設のそもそもの始まりは、豊洲のランニングスタジアムだったらしいね」と。

左から、DEPORTARE PARTNERSの柳田一磨さん、株式会社Xiborg代表取締役社長の遠藤謙さん、DEPORTARE PARTNERS COOの常木翔さん、太陽工業株式会社建設事業統括本部 営業本部 シニアエンジニアの名波紳二さん。

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