ハリマ化成グループ

One Hour Interview

One Hour Interview

フルオラスケミストリーで新しい反応法・新材料の開発を実現

松原 浩

豪州留学で語学力を鍛える

研究で行き詰まったときにはどう対処されますか。

 常に行き詰っていますからね(笑)。同じことばかり考えないことでしょうか。反応の方法で行き詰まったら、電池のことを考えてみるとか、そういうことをして気分転換を図っています。

 10年ほど前にオーストラリアのメルボルン大学に留学して計算化学の勉強をしました。コンピュータを使って反応のメカニズムを探る学問ですが、今もその研究はしています。フルオラス化合物の研究が行き詰まったときに計算化学の仕事をすると、新しい発想が出てくることもありますね。

留学先にオーストラリアを選んだのはどうしてですか。

 留学には2つの目的がありました。ひとつは最先端の学問を学ぶこと。当時、在籍していた研究室の先生から、メルボルン大学に計算化学のいい先生がいると教えていただきました。私自身、この反応はなぜ起きるのかというメカニズムに以前から興味があったのです。

 もうひとつの目的は語学の勉強です。アメリカの大学だと、米国以外の国からの留学生が多いので、ネイティブな英語を身に付けるにはふさわしくないと考えていました。その点、メルボルン大学で入った研究室には15人くらいの学生がいて、そのうち13人がオーストラリアの学生でした。ただ、ネイティブなので話すスピードがすごく速いうえに、オーストラリア訛りがきついので、最初のうちは何を言っているのかほとんど理解不能でした。「today」を「トダイ」と発音していましたからね(笑)。

 でも、オーストラリアは日本とほとんど時差がないので、留学中も日本とメールや電話のやり取りをするのがとても楽でした。その点でもオーストラリアを選んだのは正解だったと思いますね。

大阪府立大学大学院 理学系研究科 教授 松原浩[まつばら・ひろし]1963年、滋賀県生まれ。大阪大学理学部化学科卒。同大学院博士課程修了後(理学研究科有機化学専攻)、大阪府立大学総合科学部助手、同講師、大学院理学系研究科助教授、同准教授を経て2016年4月より現職。理学博士。京都・伏見の自宅から毎日約2時間かけて通勤している。学生からは「優しい先生」というのがもっぱらの評判。趣味はハイキング、山登り。琵琶湖の周りの比良、鈴鹿を中心に登っているという。

「第26回松籟科学技術振興財団研究助成 受賞」

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