ハリマ化成グループ

One Hour Interview

前田大光教授(前2列目左から2人目)と羽毛田洋平助教(右隣)と研究室の皆さん

One Hour Interview

新しい機能性を持つ次元制御型集合体の開発にチャレンジ

正・負の電荷種の並びを自在に制御した材料設計。粘り強さを武器に、羽毛田洋平さんは、誰も実現したことのない次元制御型集合体の機能発現に挑む。

羽毛田洋平

立命館大学
生命科学部応用化学科助教

最初に目指したのは人工細胞?

羽毛田さんは、松籟科学技術振興財団の第35回(2017年度)の研究助成を受けられています。立命館大学の方としてこの助成を受けられるのは3人目となるようですが、そもそも立命館大学を選んだ理由は?

 小さい頃から生物に興味がありました。高校時代に細胞はいろいろな分子の集合体から成り立っていて、高度な機能を発現していることを学び、大学では細胞の勉強をしたいと考えました。そこで、微生物の多様な機能を実社会へ応用する研究に力を入れていた立命館大学理工学部(当時)へ。大学入学後、勉強して理解を深めるうちに、細胞は分子の集合体だから、分子の集合化を人工的に制御できれば細胞をつくることができるんじゃないかと、ふと考えました。人工細胞という、夢物語のようなことも想像していました(苦笑)。でも、そのためには分子の設計、合成や分子間の相互作用を徹底的に理解する必要があると知り、今の研究テーマの分野に進んでいきました。

人工細胞はもう諦めたのですか。

 高度な機能を示す細胞を一からつくることはあまりにも複雑なので、まずはもっとシンプルな分子の集合体を用い、機能を発現させるということが現在の基本的な考えです。生体には学ぶべきことがたくさんあるので、常に参考にしながら展開を考えています。

人工細胞をつくれるようになったら、自分の設計した生物ができるのでしょうか。

 細胞を模倣した、単純な組織構造をつくれたとしても、実際に機能を発現させるのは、とても難しいことです。だから、まずはその前段階の、どうすれば分子がこちらの意図通りに並び、そして、それらがどのような機能を発現するか、そこを追究しています。分子間相互作用をいかに制御して機能を発現するか、超分子化学分野のひとつのトピックです。

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