ハリマ化成グループ

One Hour Interview

One Hour Interview

化学の視点から、二次電池材料を開発

𠮷川浩史

オールMOFで高い特性の電池も

サイクル特性も安定なものができているそうですが、この研究がうまく進めば容量が大きくて急速に充電できる二次電池が実現されますか。

 そこまで繋げられるといいですね。数十分で充電できるようになれば究極の材料として、一部の用途ではリチウムイオン電池からこれに転換していく可能性はかなり高いと考えています。

一部の用途とは?

 私たちが開発した材料に欠点があるとすれば、孔がたくさんあるのでどうしても体積が大きくならざるを得ない点です。そういう欠点が問題にならない用途、つまりある程度の大きさがあっても構わないという用途なら十分使えるということです。

これからの課題についてはいかがですか。

 体積の問題は仕方ないとして、今一番の問題は導電性です。従来の遷移金属酸化物とMOFの大きな違いは導電性です。私たちが開発した材料は遷移金属酸化物に比べると電気が流れにくいのです。正極は合材で、私たちの材料はまだ試験段階ですが通常よりだいぶ多い導電助剤を入れないと、いい電池として機能しません。MOFのようなものに導電性を付与できないか。それがこれから研究していきたいことの1つです。この材料で実用化を目指すにはそこが乗り越えなければならない点です。ただ、電気を流す導電性MOFにはよく知られているものもあるので、これは何とかなるのではないかと思っています。

ほかにも課題があるのですか。

 MOFはセパレータにも使えます。電圧の違う2種類のMOFをつくれば、正極と負極の両方をつくることもできます。つまりオールMOFの電池ができる。それはもしかしたら世界ですでに実現している方がいるかもしれませんが、高い電池特性は実現できていないはずです。オールMOFで高い電池特性を得られるようにするのは、1つの大きな目標です。

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