ハリマ化成グループ

One Hour Interview

One Hour Interview

社会実装を目指し機能性色素を創出

刺激によって色が変化したりする機能性色素の研究に取り組む大山陽介さん。社会実装してこそ価値があると考え、つねに実用化を視野に入れているという。

大山陽介

広島大学
大学院先進理工系科学研究科
先進理工系科学専攻 応用化学プログラム
教授

日本生まれの学術用語

先生の研究室は機能性色素化学研究室という名称ですが、機能性色素とはどういうものでしょうか。

 顔料とか染料のようにただ塗ったり染めたりするものとは違い、光とか熱、あるいは機械的な圧力や磨砕といった外部刺激を受けると、色が変わるなど、何らかの機能を発現する色素です。別の刺激を与えると元の色に戻るという機能もあります。実用化されているものでは、温度の変化を受けて色が変わるサーモクロミック色素があります。有機ELディスプレイに使われている有機発光ダイオードも機能性色素の範疇に入ると考えられます。

機能性色素という学術用語は日本で生まれたそうですね。

 はい、1970年代に大阪府立大学の北尾悌次郎先生たちが機能性色素という学術用語を用いるようになり、今「Functional Dye」という言葉は世界中で通用します。第1回の機能性色素の国際会議も日本で開かれました。日本がリードして発展してきた学問領域といってもいいでしょう。

機能性色素について研究されるようになったきっかけは?

 高知大学の学部生だったときの指導教員の影響です。その方が北尾先生のお弟子さんだったことから私も興味を持つようになりました。今も北尾先生の弟子筋にあたる大阪府大の八木繁幸先生と親しくさせていただいています。2人で機能性色素を盛り上げようと、最近「Progress in the Science of Functional Dyes」を共編で出版したところです。

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