ハリマ化成グループ

One Hour Interview

One Hour Interview

高分子合成で有機太陽電池材料を創製

東原知哉

論文被引用数でトップ10%入り

研究費の面でご苦労はありませんか。

 毎日しています(笑)。今は、大学に交付される国の予算が下げ止まった感じもありますが、この10年くらいは毎年1%くらいずつ減らされてきました。その結果、若手の登用が減り、教員の高齢化が進みました。そうすると学内業務にこれまで以上に時間を割きつつ研究に必要な資金を自分たちで確保していかないといけません。ただ幸い、共同研究のパートナー企業や松籟財団などの支援が非常に力になっています。私も助成をお願いするための申請書を毎日のように書いていた時期がありました。

研究者の方にはそれが負担になると聞いたこともあります。

 私は申請書を書くことで自分の考え方が整理でき、アイデアやモチベーションにつながると感じています。

先生は松籟財団の助成を2回受けておられますが、これはかなり珍しいケースのようです。

 ありがたいことです。助成をいただいた有機太陽電池の論文は、被引用数でトップ10%に入りました。私自身のモチベーションとプロモーションの両方につながりましたよ。

論文数が同世代の研究者の中で突出して多いと評価されているそうですね。これまで書かれた論文はどれくらいになりますか。

 論文数よりも被引用数のほうが重要と思いますが、現時点(2022年6月)で原著論文が220報ほどです。これは自分一人では無理なことで、共同研究者の多大な協力や学生が一所懸命やってくれているおかげです。

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