ハリマ化成グループ

One Hour Interview

One Hour Interview

より効率よく、より安定した太陽電池を次世代に

梅山有和

人と研究は互いに育て合う

有機薄膜太陽電池が実用化されたら、世の中はどう変わりますか。

 光さえあれば発電できますし、透明性を持たせることもできるので、窓ガラスに貼って使うことも可能です。つまり、いろいろなところで電源を取ることができるようになるわけです。微弱な光で発電する場合は現在使われているシリコンより効率がいいですし、それが新しいテクノロジーの開発につながることも期待できます。

2021年にこちらの大学の教授に就任されて研究室を立ち上げられましたが、そのときは大変でしたか。

 「エネルギー材料化学研究室」は私が着任してできた研究室です。つまり、前任の先生の研究室を引き継いだわけではありません。着任したときにあったのは、私のデスクだけ。周りの先生方のご厚意で実験台や事務用のデスクなどをいくつか譲っていただきましたが、研究に必要なものはビーカー1つから買いそろえる必要がありました。新しい研究室を立ち上げるにはこんなにお金が必要なのかと驚きました。

こちらの大学の印象は?

 他専攻ですが、本学にはもともと親しくしている先生がいて、その方がとてもアクティブなので大学にもいいイメージを持っていました。現在私が在籍している専攻にもアクティブな先生がたくさん在籍されていて、とてもいい研究環境だと感じています。学生に関しては、素直な学生が多い印象ですね。素直なことはもちろんいいことですが、研究に関してはもう少しとがってもらってもいいかなと思います。私自身、結構生意気なところがある学生だったと思いますし(笑)。

財団や企業による研究助成についてはどう思われますか。

 これはもう、ありがたいの一言に尽きます。感謝の気持ちしかありません。

最後に今後の目標についてお聞かせください。

 1つでも社会の役に立つような材料をつくることですね。それと大学は教育機関でもありますから、うちを出た学生は企業でもしっかり活躍してくれるという評判を得られるような研究室をつくりたいと思っています。人が育っていれば、研究も育ちます。そして、しっかりとした研究をしていれば、人が育ちます。そういう相乗効果があると思います。研究も教育も、つねにそのことを意識して取り組みたいと考えています。

梅山有和[うめやま・ともかず] 1976年、三重県生まれ。京都大学工学部工業化学科卒業。同大大学院工学研究科高分子化学専攻博士課程修了、博士(工学)。同大学院工学研究科分子工学専攻助手、助教、准教授を経て2021年4月より現職。その間の2010年10月から2014年3月までは国立研究開発法人科学技術振興機構さきがけ研究員。趣味はジョギング。2022年には丹後100㎞ウルトラマラソンを13時間半で完走した。現在は妻子を京都に残して単身赴任中。

[第25回・第37回松籟科学技術振興財団研究助成受賞]

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