ハリマ化成グループ

次代への羅針盤

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化学を、楽しみましょう

中條善樹

高分子は面白い

 実際、研究は楽しいものです。23年前、教授になったとき、自分の研究哲学をまとめた7カ条をつくり、研究室に掲示しました。その第1条は「化学をエンジョイする」です。「エンジョイ・ケミストリー」、それが私の研究室のモットーです。

 高校生のときからよく麻雀をしました。あるとき、一睡もせず72時間ぶっ通しでやったことがあります。体によくないことも時間の無駄だということも分かっていながらなぜそんなことをするのかと言えば、楽しいからです。

 高分子は汚い混ざりものと言っていた私は、あろうことか高分子の研究室の教員になってしまいました。そこで私はこう考えることにしました。「確かに高分子は汚い混ざりものかもしれない。しかしその混ざり具合を自分で制御することができ、その結果、さまざまな特性を材料に付与することができるのが高分子化学だ」と。そう考えた途端、高分子が面白くなりました。

 実験も面白いから、時間の経つのを忘れて没頭しました。ときには朝まで実験をしたものです。夕方の5時頃に合成を終えても、帰る気になりません。合成したものが本当にできているのか、分析しないと気がすまないのです。そんな状態で帰っても眠れるわけがありません。だからもう1時間、もう1時間とやり続けることになってしまうのでした。

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