ハリマ化成グループ

次代への羅針盤

次代への羅針盤

新たなパラダイムを構築し、真理を実証して時代に問う

難波成任

異文化のるつぼと化した研究室

 組織は歴史を重ねるほど、大きくなるほど、一種独特のモノカルチャーをつくりあげるものです。新しく入ってきた人たちも次第にその洗礼を受け、純化・画一化していきます。それが淀みや停滞を生み、新たな挑戦や斬新な発想や改革を妨げるようになるのです。だからこそ組織には常に新陳代謝や改変が必要なのです。

 しかし、自己変革に興味を失い、自らの殻に閉じこもり、新たな挑戦をする魂を失った組織や人は、それに抵抗しようとする人や動きを批判する側に回ります。

 そうした状況に置かれたときにはどうすべきか。私は植物医科学研究室を立ち上げるまでの20年間、4年以上同じ組織や場所にいたことがありませんでした。そしてその間、工学者、化学者、薬学者、植物学者など多様な分野の研究者を招き入れ、自分の研究室をある種の異文化のるつぼと化した中で研究していました。

 生物間には膨大な相互作用があります。そこには多様な化学物質が関与しているように、研究室も生物界も環境も、異文化交流なしには成立しません。異文化から学ぶこと、これは研究者にとってとても大切なことですし、つねに異分野から人を入れて本流に据えていけば、おのずとそこに相乗効果が生じ、新たなパラダイムが生まれてくるのです。

次のページ: 研究におけるライフワーク

1 2 3 4 5 6