ハリマ化成グループ

次代への羅針盤

次代への羅針盤

realize your mission(あなたの使命を果たしなさい)

堀邊英夫

一貫して高分子物性を研究

 現在は主に①「フィラー分散高分子の電気特性の温度応答性」、②「PVDF(ポリビニリデンフルオライド)の結晶構造制御」、③「新規リソグラフィー技術の開発」、④「オゾンや水素ラジカルと高分子との化学反応解析(環境に優しいレジスト除去)」というテーマで研究に取り組んでいます。

 例えば、①のテーマについて説明しましょう。高分子は本来電気を通しませんが、金属をフィラーとして入れると導電性を持つ方向に物性が変化します。ただ、金属を入れすぎては高分子の特性である柔軟性が損なわれてしまいます。では、金属をそれほど多く入れずに導電性を実現するにはどうすればいいかということを研究しています。

 この研究テーマにはもう一つ、永久ヒューズという切り口もあります。電気回路の上段に取り付けられているヒューズに何らかのトラブルが発生して過電流が流れると、過電流に伴う熱によりヒューズの温度が上昇し、その結果としてヒューズが切れます。その結果、過電流が下段回路に流れるのを防ぎます。しかし、切れたヒューズは交換しなければなりません。その点、私たちが開発した材料の場合、温度が上昇すると抵抗値が上がることで下段回路に過電流が流れにくくなり、常温に戻れば抵抗値が下がり、また電流が流れるようになります。したがってヒューズが切れることはなく、交換も不要になります。この材料は、すでに共同研究をした世界的な大手メーカーがパソコンに永久ヒューズとして採用しています。

 現在、私は8社の企業と共同研究などをしています。企業の視点、アカデミアの視点、その両方を理解できるのが私の強みです。企業の方が研究室に来て、一緒に研究をし、コミュニケーションすることは学生にもいい学びになります。そのため、企業とのコラボ企画には積極的に取り組むようにしています。

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