ハリマ化成グループ

次代への羅針盤

次代への羅針盤

失敗の観察から本質を見抜く力が養われる

小舟正文

他を知り己を研け

 私も失敗は何度もしてきました。でも、実験するときに「失敗したらどうしよう」というネガティブな気持ちになったことはありません。今度こそきっといい結果が出ると信じ、ワクワクしながら実験を行っていたものです。そういうワクワク感を持てば、研究も実験も楽しくなるはずです。

 私は会社員時代には、自分の取り組んでいるテーマに関連した特許や論文を毎日10本くらい読んでいました。研究に没頭しすぎると、どうしても視野が狭くなりがちです。だからこそ、ほかの人の論文を読むことが大事なのです。そこには必ず発見があります。その発見を参考にしながら、また手を動かしてチャレンジする。そうすれば失敗は確実に克服できます。

 もう1つ、今の人は海外に出たがらない傾向があると言われていますが、海外体験はぜひしていただきたいと思います。私は45才のときに1年間、スイス連邦工科大学ローザンヌ校に客員研究員として留学しましたが、本当に得難い経験をしました。何より、自分が井の中の蛙だったことを思い知らされたのが大きな成果でした。

 学究の徒として私は異色の道を歩いてきましたが、今振り返ると、これでよかったのだと確信しています。

海外に出れば、自分が井の中の
蛙だったことを痛感させられます。

小舟正文[こぶね・まさふみ] 1955年生まれ、兵庫県出身。姫路工業大学(現兵庫県立大学)工学部応用化学科卒。タテホ化学工業株式会社入社し、研究開発に従事。その後、会社に勤めながら社会人大学院生として姫路工業大学の大学院に入り、博士課程を修了。博士号(工学)取得後、会社の業績悪化を受け、やむなく退職。姫路工業大学の助手として教員に転じた。講師、助教授、准教授を経て2011年、兵庫県立大学大学院工学科教授に就任。2021年、定年退官した後、特任教授に。2026年、特任教授を辞し、現在は企業の技術コンサルタントとして活動している。

[第21回 松籟科学技術振興財団研究助成受賞]

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