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伝説のテクノロジー

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真空管アンプが生み出す“本物の音”

オーディオ職人 今井清昭さん

オーディオのフェラーリ

 一方、知名度やブランドにかかわらず、いいものはいいと評価する欧州では、同社の製品は高く評価されている。とくにオペラの本場、イタリアでは、オーディオ雑誌や音楽雑誌が何度も今井さんを取り上げているほどだ。今井さんの写真がオーディオ雑誌の表紙に掲載されたこともある。オーディオテクネの製品は「オーディオのフェラーリ」と称され、今井さん自身は「オーディオのマエストロ」と呼ばれているそうである。現在はイタリアの代理店経由で、欧州各国に輸出をしている。

 「昨年までの間の円高はきつかったですね。でも昨年、ポーランドの人がうちの製品を買って、オーディオショーに出品したところとても評判がよかったため、現地に試聴室をつくってくれました。そこに置く製品をこの秋に出荷する予定です」。今井さんがうれしそうに語る。

 本物の音を少しでも多くの人に聞いてもらいたいという理由で、今井さんはすべての技術をオープンにしている。購入客には配線図面も渡している。「どんどん、真似をしてほしい」とまで言い切る。実際、オーディオテクネの製品にそっくりなものが出回ったこともあった。だが、そこから聞こえてくる音は、似て非なるものだったという。

 本物の音をつくる本物の匠の技は、やはりそう簡単に真似できるものではないということだ。

いまい・きよあき 1942(昭和17)年生まれ。静岡県出身。工業高校卒業後、音響メーカーに就職し、ステレオに関わる仕事に従事。その後、8回の転職を経て1978年にオーディオテクネインコーポレイテッドを設立した。原音に近い音であるかどうかを聞き分ける耳を育てるため、かつては年に何十回もコンサートに行ったという。

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